Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふるきミニエチュア

古き小画

宮本 百合子

Lisez 古き小画 (ふるきミニエチュア) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 70 298 caractères · 140 écrans

Aozora Bunko

スーラーブは、燃えるような眼付で捕虜を睨みつけた。

「よく視ろ!」

やっと、失望と憤怒とを制し、彼は云った。

「左手、ずっと左の端だ。誰のだ? 知らぬ筈はない」

「――……」

「誰のだというのに!」

スーラーブは、ここぞという処で裏切られた口惜しさに、相手を張り倒したいほどの衝動にかられた。

三十六

自分が知りたいのは、狙ってルスタムを殺そうためではない。正反対だ。知らしてさえくれたら、今日これからの手合せに、血も流さず、永年、遠くから牽き合った父と子が対面出来る。天と地とが凱歌をあげる歓びが実現するのだ。スーラーブは、我知らず宥(なだ)めるような調子になった。

「卿は二つ、正直に云った。一つだけ知らないというのは信ぜられぬ。云ってくれ。――決して悪いことはないのだ。――あの左の方、大きな天幕は誰のだ?」

イランの捕虜は頑固に呟いた。

「知りません。――何もしるしがない」

成程――。スーラーブは窮した。実際その天幕は無標であった。色も形も違ったところがなく、唯他のものより大きいのが特徴なのだ。スーラーブは、捕虜が尤も至極な口実を捕えたことをいまいましく悲しく感じた。