Classiques japonais avec furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Lisez 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 220 431 caractères · 428 écrans
行きついたときは、いまし七月十七夜の夕月が、葛飾野の森をぽっかりと離れのぼって、さざら波だつ大川に、きららな銀光の尾を映し出したときです。と――待つ間ほどなく、はるか土手向こうにちいさく姿を見せたものは、紛れなきふたごの兄弟波沼要介と欣一郎に、可憐な少女百合江でありましたから、すばやく右門は杉弥を伴ってそこの葦叢に身を潜めると、命ずるごとくにいいました。
「いかようなことが目前にあらわれてまいりましょうとも、けっして声をたてたり、おどろいてはなりませぬぞ」
杉弥はただいぶかり怪しんでいましたが、やがてしばし――。百合江は右門たち三人の姿をすでに途上で認めていたものか、かくれ忍んでいるその葦叢のまんまえに兄弟たちをいざなってくると、なんたる恋ゆえのおおしさであったろうぞ! すべてを心得たもののように、薄青白な月光のもとで、ぱッとその着衣をぬぎすてたのです。
と、同時に現われた雪白の裸体姿! いや、下半身にはひらひらと夕風になびいて、それゆえにひとしお悩ましき美しさを増す緋の色の布がまとわれてありました。しかも、それらをいよいよ明るまってきた月光にさらしながら、しばらく人々の目を射るにまかしていましたが、やがて清らかに波沼兄弟たちへいう声が聞こえました。