Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

Lisez 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 220 431 caractères · 428 écrans

Aozora Bunko

しかも、不思議なことに、高貴のおかたと見えるそのお来客の接待場所は、ついふた月ほどまえに松平伊豆守がわざわざそのために造営さしたお庭つづきのお濠ばたの、ほんとうに文字どおりお濠ばたの数寄をきわめたちいさな東亭でした。唐来とおぼしき金具造りの短檠にはあかあかとあかりがとぼされ、座にはきんらんのおしとねが二枚、蒔絵模様のけっこうやかなおタバコ盆には、馥郁として沈香入りの練り炭が小笠原流にほどよくいけられ、今は、ただもうそのお来客と城主伊豆守のご入来を待つばかりでした。

と――警蹕の声とともに、家臣たちがひらめのごとく土下座している中を、伊豆守とおぼしき人が先頭で、うしろに一見高貴と見ゆるおんかたを導きながら、しずしずと東亭へおなりになりました。そして、今おんふたかたがおしとねにつかれようとしたとき! 突如、真に突如、意外な大珍事がそこに持ち上がりました。床が没落したのです! がばッ! という大音響とともに、堅固なるべきはずの東亭の床が、めりめりとおんふたかたをのせたままで、突然地の中へ没落してしまったのです。

「わあッ! 一大事! 一大事! 将軍家と伊豆守様とのお命をちぢめまいらした不敵なくせ者がござりまするぞッ。