Classiques japonais avec furigana
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なもなきくさ
名もなき草
小川 未明
Lisez 名もなき草 (なもなきくさ) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 629 caractères · 4 écrans
たゞ、どこにでもあるであろう、いゝ音色は、同じく、無条件に、人間の魂を捕えずに置かないというにしか過ぎない。
野蛮人は、殊に、音に対して、鋭敏な感覚を有している。いゝ音色に聞きとれている時には、背後から頸を斬られるのも知らずにいるとさえ言われている。
美しいものや、正しいものは、常に、この地上の到るところに存在するであろう。しかし、これを感ずる人は、常に、どこにでもあるとはいわれない。なぜなら、その人はまた、謙虚にして、誠実であり、美や、正義に対して、正直に、それを受けいれることのできる人でなければならぬからだ。
すべて、芸術といわれるものが、良心の結晶であるかぎり、かくのごとき普遍性を有するものである。そして、それを感ずる人は、又かくのごとき自由性に、置かれている。与うるにも、受けるにも、そこに何等の条件と理論とを必要としないのである。
自然にあっても、芸術にあっても、いつでもこうして、美しいものや、正しいものは、人間の魂を清らかにする。そればかりでなく、現実から、遠いところへ彼等を、誘って行くものだ。一茎の花に、それだけの力があったら、真の詩人の情熱から、感激から、発生するそれ等の芸術にして、何ものかを心の上に残して行かない筈はない。