Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
「これから甚内さんどうなさる?」
こう宿の人に訊かれた時、甚内は正直に打ち明けた。
「草を分けても探し出し、敵を討つつもりでございます」
「おおおお、それは勇ましいことだ」宿の人達は驚きながらも、賞讃の辞を惜しまなかった。
追分宿で七日を暮らし、いよいよ江戸へ立つことになった。心づくしの餞別も集まり、宿の人達は数を尽くして、関所前まで見送った。妹お霜を馬に乗せ、甚内自身手綱を曳き、関所越えれば旅の空、その旅へ再び出ることになった。
見れば三筋の噴煙が、浅間山から立っていた。思えば今年の夏のこと、兄甚三に送られて、この曠野まで来た時には、緑が鬱々と茂っていた。その時甚内の乞うに委せ、甚三の唄った追分節は、今も耳に残っていた。しかるに今は冬の最中、草木山川白皚々、見渡す限り雪であった。自然はことごとく色を変えた。しかし再び夏が来れば、また緑は萌え出よう。だが甚三は帰って来ない。遠離茫々幾千載。たとえ千載待ったところで、死者の甦えった例はない。如露また如電これ人生。命ほどはかないものはない。
人は往々こういう場合に、宗教的悟覚に入るものであった。しかし甚内は反対であった。