Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
「駕籠屋、急げ! 数寄屋町だ!」
「へい」
と駕籠屋は駈け出した。
「よろしい、下ろせ」
と駕籠を出たところは、南町奉行所の門前であった。
裏門へ廻ると平八は、ズンズン内へはいって行った。
与力詰所までやって来ると、顔見知りの与力が幾人かいた。
「いよう、これは郡上氏」
「いよう、これは玻璃窓の旦那」
「いよう、これは無任所与力」
などといずれも声を掛けた。それほどみんなと親しいのであった。
「玻璃窓の爺の出張だ。大事件が起こったに違いない、うかつにノホホンに構えていて、抜かれでもしたら不面目、あぶねえあぶねえ、用心用心」
なかにはこんなことをいう者もあった。
平八はニヤリと笑ったばかり、一人の与力へ眼をつけると、
「石本氏、ちょっとお顔を」
「なんでござるな」
と立って来るのを、平八は別室へ誘った。
「秘密に書き上げを拝見したいが」
「ははあ、書き上げ? どうなされるな?」
「いやちょっと、ご迷惑はかけぬ」
「貴殿のこと、よろしゅうござる」
持って来た書き上げをパラパラめくると、二、三平八は書きとめた。
「そこで、もう一つお願いがござる。……貴殿のお名を拝借したい」
「いと易いこと、お使いなされ」