Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よばれしおとめ
呼ばれし乙女
岡本 かの子
Lisez 呼ばれし乙女 (よばれしおとめ) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 165 caractères · 11 écrans
師の家を出てから、弟子の慶四郎は伊豆箱根あたりを彷徨いているという噂であった。
一ヶ月ばかり経つと、ある夜突然師の妹娘へ電報をよこした。
「ハコネ、ユモト、タマヤ、デビョウキ、アスアサキテクレ」
受取って玄関で開いた千歳は、しばらく何が何やら判らなかった。慶四郎と姉となら、一時、ああいう話もあったのだから呼出すもよい。妹の自分を名指して何故だろう――いつの間にか姉娘の仲子が、千歳のうしろに来て、電報を覗き込んでいた。脆くて、きめが濃かく、寂しい気配の女であった。千歳はそのまま姉へ肩越しに電報を読み取らせた。仲子はそのまま千歳の脊中でじっと考えていたが、やがて臆病に一本の華著な指先きで妹の脊筋を圧して、いつもの仲子のひそやかな声で囁いた。
「行って上げなさい。お父さまには破門になってるし、私は家を取締っているし、あんたよりほかだめだと思ってだわ」
事実、千歳の家では老父と姉妹の三人のほか家族として誰もいなかった。
「病気して、お金にでも困っているのね」
「そうよ、窮したら外に言って行くところも無い人だもの。家だって、千歳さんが慶四郎さんとは一番遠慮なくしてたんだから」