Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
とらわれびと
囚われ人
豊島 与志雄
Lisez 囚われ人 (とらわれびと) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 109 caractères · 35 écrans
彼は突っ立ったまま、室内を睥睨するように見廻し、正夫に眼を止めて、右手を差し伸べ、更に人差指を一本差し伸べて、正夫を指し示す。
時彦――俺は時彦という者だが、この人をよく知っている。煩いから騒ぐのは止しなさい。この人は決して退屈なんかしていない。退屈したことなんか決してない。ただ、俺を軽蔑してるだけだ。言い換えれば、俺を無視してるだけだ。
――この人は恐ろしく懶け者だ。ただそれだけだ。だから、懶け者の癖として、決して退屈することなんかない。何もすることがなくても、退屈しないし、何もしないでいても、退屈しないし、どんなに忙しくても、退屈しない。恵れた性格さ。ね、そうだろう、正夫君。
正夫君と呼びかけて、時彦は初めて差し伸べた右手を下し、両手の甲を腰に当てがい、真直に突っ立ったまま口を利く。
時彦――いつだったか、面白いことがあったね。君は宿酔の体を日向に投げ出して、絵本を見ていた。開かれてる頁は、兎と亀の馳けっこの話の、兎が途中で昼寝をしてる、あのところだった。いつまでも君がそれを眺めてるし、しかも嬉しそうに眺めてるので、俺は不思議に思って、何をそんなに感心しているのかと、尋ねてみた。