Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あかげっと しなあちこち

国枝史郎歴史小説傑作選

国枝 史郎

Lisez 国枝史郎歴史小説傑作選 (あかげっと しなあちこち) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 59 334 caractères · 121 écrans

Aozora Bunko

十 残心

曠世の英雄ナポレオンも、マリアを皇后に迎え一子、羅馬王を儲けてからは、わが秀吉が淀君を妾とし、秀頼を儲けて以来、いささか凡人に還ったように凡人化し、マリア皇后の歓心を買うためには、どんなことでもやろうという心持ちになっていた。

それへ付けこんだのがメッテルニッヒで、

「新皇后のお心をよろこばせるためにも、一つ、はなばなしく露国をたたきつけて……」などと焚きつけた。

こうして起ったのが露西亜遠征で、その結果は失敗した。

十 残心

剣道に於て、残心(ザンシン)ということは重大のことになっている。私もすこし剣道のことを知っているので、残心のことに就いて書こう。そうして残心は、剣道ばかりでなく、人生いっさいのことに有用である。だから、一国の運命を背負っている外交官などには特に必用なのである。それで、残心のことを書く。

宮本武蔵が、佐々木岸柳を、木刀で真向を打って斃した。「それから、しばらく様子を見ていたが、やがて、ソロソロと進み岸柳の鼻へ、手をかざし、その生死をたしかめ」それから、はじめて、検分の人々へ一礼し、船に乗って立去った。

「 」この記しのある間が、残心なのである。