Classiques japonais avec furigana
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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
Lisez 地獄の使者 (じごくのししゃ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 419 caractères · 152 écrans
帆村は立上ると検事の背後へ行って、その表を熱心に覗きこんだ。
「もう質問はないかな。なければ帰るよ」
博士はもう腰を半ばあげた。誰も博士を停める者はなかった。博士がパイプに火を点けて、この部屋を出て廊下を五足六足歩いたとき、帆村が追って来て博士を呼び停めた。
「先生、あれはどうなりました」
「あれとは何じゃ」
「鼠です。鼠を解剖してご覧になりましたか」
「おお、そのこと……解剖はした。解剖はしたが、はっきり分らない。人間の心臓麻痺は一目で分るが、鼠が心臓麻痺したかどうかはちょっと分らんのでね。そのことも実は研究題目の一つにして、今やっているところだ」
「流石は先生ですね、大いに敬意を表します」
「何じゃと……」
「いや、つまり先生が、鼠を解剖して、やはり心臓麻痺かどうかを調べられたその着眼点のよさですね、それに敬意を――」
「わははは、何をいうかい」
と博士は破顔して
「今日中に分るだろうから、分ったら君の事務所へ知らせてやるよ」
博士はこの約束を果した。
その日のお昼のすこし前、帆村が旗田邸に居ると、事務所から電話がかかって来た。出てみると、八雲千鳥が当惑し切ったという旨で、