Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しおばな

塩花

豊島 与志雄

Lisez 塩花 (しおばな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 421 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

そういうところへ、半白の髪を短く刈った肥満した人がはいって来た。その人は上席の方について、真先にビールの杯を取り上げた。

「ぶらぶら歩いて来て遅くなりましたが、焼け跡も楽しいものですな。」

その声は大きく、一座のすべての人に話しかけるような調子だった。そして彼は、焼け跡の畑について語った。麦のこと、大根のこと、菜つ葉のことを語った。

「然し、収穫は乏しいでしょう。大根の根は筋ばって細いし、麦の穂も大して実りますまい。肥料が平衡を得ていませんからね。加里と窒素が多すぎて、燐酸分が足りないですよ。」

すると、末席の方から、佐竹という若い人が言った。

「そうです。すべてに燐酸が足りません。」

「なるほど、すべてに燐酸が足りないかな。」

肥満した人は笑い、佐竹は顔を赤めていた。

それだけのことが、奇妙に一座の空気をはっきり照らしだした。実は、それまで、ごく普通の話題ばかりであり、ごく普通の意見ばかりにすぎなかったが、そのごく普通のことが蘇鉄の葉蔭で話されてることに、なにか普通ならぬものがあった。十二月九日のことで、昨年までは開戦記念日の翌日だったのが、今では日本が偉大な錯誤にふみこんだ記憶すべき日の翌日、連合軍司令部の記述した「太平洋戦史」