Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lisez 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 485 caractères · 93 écrans

Aozora Bunko

竜太郎は長い廊下を帳場のほうへ駆けながら大きな声で叫んだ。

「なんて馬鹿なことをしたんだ。……このくらいのことは、もっと早く気がついていなくてはならなかったんだ。……だが、どんなことがあっても、もう一度逢って見せる。……どんなことがあっても!」

帳場では、番頭がちょうどやって来たばかりのところだった。

「昨日着いた客の中に、もしか二十歳ばかりのブロンドの娘が……」

冷淡な声で、番頭が遮った。

「昨日は、お発ちになるお客さまばかりで、お着きの客はございませんでした」

「でも、昨夜、土壇で……」

「ご旅行の方が、ご自由にお立ち寄りになりますから」

ご旅行の方! この、ちょっとした言葉が、針のように鋭く竜太郎の耳を抉った。

「今朝早く、鼬鼠のケーブを着た」

番頭は、手で遮った。

「なにしろ、手前は、たったいまここへまいったばかりでございますから、何分にも……」

(昨夜、十二時半が鳴るのをたしかに聞いた)

「では、昨夜おそく……たぶん……」

「なにしろ、大勢のお客さまのことでございますから」

竜太郎はしおしおと、自分の部屋のほうへ帰りかけた。

何とも言い表し難い、はげしい孤独の感じが、鋭く胸を噛んだ。