Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lisez 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 485 caractères · 93 écrans

Aozora Bunko

竜太郎は玄関の大扉のそばに垂れ下っている呼鈴の綱を引いて案内を乞うたが、いつまでたっても誰れもやって来ない。邸の内部には人の気配もなく森閑としずまりかえっている。

本邸の右手の方を見ると、玄関番の小舎が見えるのでその方へ歩いて行って扉を叩くと、内部から八歳ばかりの女の児が出て来た。

「ちょっと、おたずねしたいことがあってお伺いしたのですが、どなたもいらっしゃらないの」

子供は、すぐ、うなずいて、小舎の裏手のほうへ駆け込んで行った。

玄関番の小舎は、内部も外部も白塗りの、異国風な建物で、床が磨き込まれて鏡のように光っていた。部屋の央ほどのところに小さな丸い卓があって、その上に、世界中のあらゆる新聞、……ベルグラードやサラエボの夕刊新聞までが帯封をしたまま、堆高く積まれてあった。

どうしたのか、子供はなかなか帰って来ない。竜太郎は、窓のほうへ行って庭を眺めて見たが、人の影さえなかった。

さっきの椅子に帰ろうとしながら煖炉のそばを通るとき、ふと、その上の、銀の額縁にした写真に注意をひかれた。

近づいて、ひと眼見るなり、竜太郎は真青になってしまった。狂人のような眼つきでいつまでもその写真を眺めている。