Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
Lisez 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 485 caractères · 93 écrans
(あたしは、あなただけのものよ)
たとえ、それが恍惚のときの狂熱の叫びであろうと有頂天の間の囈言であろうと、かりにも、じぶんの耳が聞いたその言葉を、なぜ、そのままに信じられないのか。そればかりか、相手が王女だと聞くと、これはいけないと、尻込みしてしまった不甲斐なさはなんという確信のなさ。なんという熱情の乏しさ。
日本にいた頃の竜太郎は、蕩児は蕩児なりに、多少ずばぬけたところを持っていた。気概も気魄もある男だった。
欧羅巴を放浪し始めてから十五年、軽佻浅膚な社交界を泳ぎまわっているうちに、いつのまにかその習俗に茶毒され、日本から受け継いだ、男としての気概などは跡かたもなくなって、風船玉のような尻腰のない、へなちょこな魂ができあがった。いっぽう、そういう生活に対する鋭い懐疑と、絶えまない反省がある。放蕩と反省と懐疑の、役にも立たぬこの三つの相剋のなかで、竜太郎それ自身まですっかり見失ってしまった。気概どころか、意志もなければ信念もない。……人間のぬけがら。そういう、へなへなな魂が、じぶんの女を、せめて、街路樹の蔭からでもひと目見てこようなどという、しみったれたことを思いつかせるのである。