Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Lisez 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 485 caractères · 93 écrans

Aozora Bunko

エレアーナ王女は、白い夏の装いで、大理石の広い階段の第一階に、寛濶な面もちで立っている。

竜太郎は、指の先で、転くそこここと写真にさわりながら、こんなふうに、呟く。

「君は、王女などでなければよかったんだ。……あの夜、ホテルの土壇で、海に向って泣いていたわけが、今こそ、うすうすわかるような気がする。……何か、さまざまと苦しいことがあるのにちがいない。……僕はこうして、君の写真を眺めてためいきをついているだけで、どうしてあげることも出来ないが、どうか、あまり不幸にならないように、どんなに不幸になっても、せめて、生きてだけはいてくれたまえ」

どんなふうに祈るのか、その術を知らないのが情けなかった。そのくせ、いつの間にか、絨氈の上に膝をついて、

「南無観世音、南無観世音……」

と、ただそれだけのことを、いつまでも繰り返していた。

九

夜明けに近いころ、遠くで、さかんな機関銃の音がしていた。単音符を打つような、鋭い、そのくせ陰性な音を、竜太郎は、浅い夢のなかで聞いていた。

もう、十時を過ぎていたが、窓の外は、払暁前のような曖昧なようすをしていた。運河の河岸に片寄せられた浚渫船の赤錆びたクレーンの上に、鴎が二三羽とまっている。