Classiques japonais avec furigana
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ばいしょくかもなんばん
売色鴨南蛮
泉 鏡花
Lisez 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 926 caractères · 28 écrans
と、緋縮緬の女が、同じ方を凝と視ていた。
三
鼻の隆いその顔が、ひたひたと横に寄って、胸に白粉の着くように思った。
宗吉は、愕然とするまで、再び、似た人の面影をその女に発見したのである。
緋縮緬の女は、櫛巻に結って、黒縮緬の紋着の羽織を撫肩にぞろりと着て、痩せた片手を、力のない襟に挿して、そうやって、引上げた褄を圧えるように、膝に置いた手に萌黄色のオペラバッグを大事そうに持っている。もう三十を幾つも越した年紀ごろから思うと、小児の土産にする玩弄品らしい、粗末な手提を――大事そうに持っている。はきものも、襦袢も、素足も、櫛巻も、紋着も、何となくちぐはぐな処へ、色白そうなのが濃い化粧、口の大きく見えるまで濡々と紅をさして、細い頸の、真白な咽喉を長く、明神の森の遠見に、伸上るような、ぐっと仰向いて、大きな目を凝とった顔は、首だけ活人形を継いだようで、綺麗なよりは、もの凄い。ただ、美しく優しく、しかもきりりとしたのは類なきその眉である。
眉は、宗吉の思う、忘れぬ女と寸分違わぬ。が、この似たのは、もう一人の丸髷の方が、従弟の細君に似たほど、適格したものでは決してない。