Classiques japonais avec furigana
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なつくさせんき
夏草戦記
山本 周五郎
Lisez 夏草戦記 (なつくさせんき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 107 caractères · 41 écrans
六
……やはりおれのどこかに純粋でないものがあるのかも知れない、これはよくよく注意しないといけないぞ。そう反省しながら、ふとかれはびっくりしたように切通しのほうへふり返った。
――相良どのが切通しをおりてゆく。
新九郎は思わず銃をとり直した。
六
相良官兵衛は切通しをおりていった。新九郎はおのれを反省しながら、その耳は無意識のうちに官兵衛の足音を追っていたのだ、夜露に湿った道を草鞋でゆくのだから、聞えるほどの足音はない筈だった、新九郎がそれを聞きとめたのは「勘」である、そしてその勘がたしかだとみるなり、かれはなかば反射的に銃をとり直して台地の斜面をすべりおりた。
下は段畑になっていた、かれは星あかりをたよりに、物音をしのばせながら下へ下へとおりていった。瓜畑があった、番小屋のような小さな建物があり、一段さがったところに水車が廻っていた、落ちてゆく水はそのまま田へひくのであろう、石で畳んだ堰へとまっすぐにはしっている、堰についてくだり、かなりな高さの堤をとびおりると桑畑だった、そこからはすぐ左がわに切通しから曲ってくる坂道が見える、新九郎は桑畑のなかに跼んで、息をひそめながらじっと坂道を見まもった。