Classiques japonais avec furigana
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ゆうぐれのまどより
夕暮の窓より
小川 未明
Lisez 夕暮の窓より (ゆうぐれのまどより) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 929 caractères · 4 écrans
草の葉が無心に風に吹かれて飛んでゆく小鳥の影の、いつしか見えなくなる、其黒い点ばかりである。
私は、田舎にゆくたびに、こういう静かな、淋しい処に産れた人と彼の、繁華な明るい町に住む人といずれが幸福であろうかと考えさせられた。
静かな、淋しい生活であろう……とか或は賑かな、華美な生活であろう……とか言うのは、これは傍から見てたゞそういうように思うばかりであって、果して其人の心には、どう感じているか立ち入って見なければ分らない。同時にどちらが幸福であるか、また不幸福であるかということは分らないのである。
たゞ、あきらめ、惑わない人が幸福であろうと思う。……悲しい時に於ても……また喜ばしい時に於ても……のみならず、日常の生活を真に味い得る人のみに限って、人生は、始めて夢でない、空想でないと言い得る。たゞ、生活を考え、感じ、味い得る人に限って、生存の意義が明かにせられたのである。故に、たとえ悲しみに沈み、思いに悩む人も、真に其の悲しみというものを感じ、心に味い得た人は、やはり、其処に生きているだけの果いがあるのだ、いくら、富有な境遇に在ても夢のような生活を送っている人もある。