Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ゆうがおのもん
夕顔の門
吉川 英治
Lisez 夕顔の門 (ゆうがおのもん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 956 caractères · 29 écrans
閉めたり開けたりする抽斗の環の音がだんだん荒っぽくなる。
着物を更え、帯を締め、そして何か手廻りの物を包み初めた様子に――兵庫は、
(又、始まったな)
と、覚って、舌打した。
『……お話がございますが』
と、彼女は、改まって、良人の前へ来て坐った。
『……なんだ』
『お暇をくださいまし』
『…………』
『貴方は、妻よりも、鷹の方が可愛いいお人なんですから』
『…………』
『この部屋も、鷹の書でいっぱい。家の中も鷹の抜毛や餌でいっぱい。何処を向いても鷹臭いほどです。――貴方がいちばん御機嫌のよい時は、餌をやりながら、鷹と独り言に話しをしている時でしょう。――鷹になさる程な優しい顔を、妻にはした事のない貴方です』
『わしは、藩の鷹匠だ、書物を見るも、鷹を飼うも、わしの天職――わしの御奉公。――当りまえな勤めではないか』
『ですから、わたくしは、此家を去って参ります。どうか、お暇を下さいまし』
『易い事だ。……おまえが来てからも、この家の行燈の灯皿には、いつも虫の死骸や塵が沈んだままだ。居ても居なくても、何の変りはない』
『よ、ようござんすね。……では』
『だが、待て』
『御未練ですか。