Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Lisez 夜の靴 (よるのくつ) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 056 caractères · 213 écrans

Aozora Bunko

」

と参右衛門は云って喜んだ。彼は私の注文した薪を取りに山へ清江と二人で出かけて行く。東京の留守宅から手紙が来た。食い物の入手の困難なこと、強盗がさかんに出るので帰ることを見合すようにと書いてある。もう遅い。しかし、妻はその手紙を見て急に恐怖を覚えて来たらしい。

「いやね。東京強盗ばかりですって。」

「しかし、もう駄目だ。」

「火燧崎の人、どんな人でしたの。大丈夫かしら。」

東京から来ているということで、火燧崎まで強盗に見え出して来るのも、今は輸送の安全率が皆目私らには見当がつかぬからだ。現に預金帳の握り潰しで半年以上も苦しめられた直後である。その無政府状態の真っただ中へ、見も知らぬ人の荷物として投げ出すこれら私の荷の行衛については、考え出せばきりなく不安だ。一点たりとも安心出来る部分はどこにもない。しかし、疑心群れ襲って来る怪雲のごとき底から、じっと澄み冴えて来るのは正しい彼の書体であった。それだけは、打ち消しがたくしっかと何かを支えている。篆刻のごとき美しさだ。あれが生の象徴だ。私は東洋を信じる。日本を信じる。人みな美し、とそう思った。

「大丈夫だよ。