Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lisez 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 871 caractères · 134 écrans

Aozora Bunko

「…………」

「兄ちゃん、掏摸になって、わいに兄ちゃんの靴みがかして、二人前の金払ってくれて、ハナヤおごってくれたら、ええなア。兄ちゃん、掏摸になりイ」

「ふーん」

次郎は子供のくせに腕組みをして考えたが、やがて、

「――いや、やっぱし止めとこ。掏摸テええことと違う。強盗と同じこっちゃさかいな」

そう言った時、次郎ははっと眼を輝かせた。

自分の眼の前を、追われるように夢中で駆けて行く男の姿を見たのだ。

豹吉だった。

「あッ、掏摸さんだッ!」

次郎は思わず叫んだ。咄嗟に亀吉から頼まれたことづけを思い出した。

そして、三郎と一緒に、

「掏摸さん、掏摸さん、兄貴、兄貴!」

と呼びとめようとした。

もっとも、亀吉からのことづけがなかったとしても呼びとめたに違いない。

なつかしかったのだ。ハナヤの事が忘れられぬのだ。

しかし、豹吉は立ち停ろうとしなかった。

警官に追われていたのだ。

次郎と三郎は、商売道具を放ったらかしてあとを追うた。

必死になって逃げ行くあとを必死になって、どこまでも追うていった。

ところが、その留守中……

職場――という言葉は、かつて我々に使い古されて、汚れた豆債券のような感じがして、いやなのだが、ほかに適当な言葉はないし、次郎、三郎にとってもまさしく職場であるから、職場ということにするが……。