Classiques japonais avec furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lisez 夜明け前 (よあけまえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 205 629 caractères · 408 écrans
時には、勝重は勉強部屋の方から通って来て、半蔵と香蔵とが二人で話しつづけているところへ用をききに顔を出す。短い袴、浅黄色の襦袢の襟、前髪をとった額越しにこちらを見る少年らしい目つきの若々しさは、半蔵らにもありし日のことを思い出させずには置かなかった。
「そうかなあ。自分らもあんなだったかなあ。わたしが弁当持ちで、宮川先生の家へ通い初めたのは、ちょうど今の勝重さんの年でしたよ。」
と半蔵は友だちに言って見せた。
そろそろ香蔵は中津川の家の方のことを心配し出した。強風強雨が来たあとの様子が追い追いわかって見ると、荒町には風のために吹きつぶされた家もある。峠の村にも半つぶれの家があり、棟に打たれて即死した馬さえある。そこいらの畠の麦が残らず倒れたなぞは、風あたりの強い馬籠峠の上にしてもめずらしいことだ。
おまんは店座敷へ来て、
「香蔵さん、お宅の方でも御心配なすっていらっしゃるでしょうが、きょうお帰し申したんじゃ、わたしどもが心配です。吾家の佐吉に風呂でも焚かせますに、もう一日御逗留なすってください。年寄りの言うことをきいてください。」
と言って勧めた。この継母がはいって来ると、半蔵は急にすわり直した。