Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lisez 夜明け前 (よあけまえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 205 629 caractères · 408 écrans
その時になると、神葬祭の一条も、何もかも、この街道の空気の中に埋め去られたようになった。和宮様御下向のうわさがあるのみだった。
宮様は親子内親王という。京都にある帝とは異腹の御兄妹である。先帝第八の皇女であらせらるるくらいだから、御姉妹も多かった。それがだんだん亡くなられて、御妹としては宮様ばかりになったから、帝の御いつくしみも深かったわけである。宮様は幼いころから有栖川家と御婚約の間柄であったが、それが徳川将軍に降嫁せらるるようになったのも、まったく幕府の懇望にもとづく。
もともと公武合体の意見は、当時の老中安藤対馬なぞのはじめて唱え出したことでもない。天璋院といえば、当時すでに未亡人であるが、その人を先の将軍の御台所として徳川家に送った薩摩の島津氏などもつとに公武合体の意見を抱いていて、幕府有司の中にも、諸藩の大名の中にもこの説に共鳴するものが多かった。言わば、国事の多端で艱難な時にあらわれて来た協調の精神である。幕府の老中らは宮様の御降嫁をもって協調の実を挙ぐるに最も適当な方法であるとし、京都所司代の手を経、関白を通して、それを叡聞に達したところ、帝にはすでに有栖川家と御婚約のある宮様のことを思い、かつはとかく騒がしい江戸の空へ年若な女子を遣わすのは気づかわれると仰せられて、お許しがなかった。