Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆめどのさつじんじけん

夢殿殺人事件

小栗 虫太郎

Lisez 夢殿殺人事件 (ゆめどのさつじんじけん) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 755 caractères · 55 écrans

Aozora Bunko

然し、立ち上ると法水は、ブルッと胴慄いして、明らかにその顔色には、容易ならぬ例題に直面しているのを、語るものがあった。

「だが支倉君、そんな事よりも、あれだけの血が一体何処へ行ってしまったのだろう?」

「ウン、確かに体外血量の測定をする必要はあると思うね。吸うのもいいだろうが、吸血鬼でも人間じゃ、立ち所に恐ろしい生理が起ってしまうぜ」と検事が尤もらしく呟くのを、法水は嘲けり返すように見て、

「所が、此の事件には、ポルナで働いたチームケ教授は要らないのだよ。此処に散らばっている金泥全部を集めた所で、恐らく二百瓦とはあるまいからね」

と暫く莨を口から放したまま考えていたが、やがて法水は玉幡の一つを取り上げた。玉幡は四本とも同型のもので、幅二尺高さ七尺ばかり、上から三分の一までの部分は、ビルマ風の如意輪観音が半跏を組んでいる繍仏になっていて、顔を指している右手の人差指だけが突出し、それには折れないように、薄い銅板を菱形にして巻いてあった。そしてその下に、中央には、日の丸形の円孔が空いている、細かい網代織りの方旛が、五つ連なっていた。重量は非常に軽く一本が六、七百匁程度で、それが普通の曼陀羅より余程太い所を見ると、たしかに蓮の繊維ではなく、何か他の植物の干茎らしいと思われた。