Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

むゆうびょうしゃのし

夢遊病者の死

江戸川 乱歩

Lisez 夢遊病者の死 (むゆうびょうしゃのし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 121 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

何者とも知れず、彼の耳の側で慌しく叫び続けた。

彼は一生懸命で何気ない風を装いながら、伯爵家の召使達の群から少しずつ少しずつ離れて行った。それが彼にとってどれ程の努力であったか。今にも「待てッ」と呼び止められ相な気がして、もう生きた心地もないのである。

だが、仕合せなことには、誰もこの彼の不思議な挙動に気付くものもなく、無事に家の蔭まで辿りつくことが出来た。そこから彼は一息に門の所へ駈けつけた。見ると門前に一台の警察用の自転車が立てかけてある。彼はいきなりそれに飛び乗って、行手も定めず、無我夢中でペタルを踏んだ。

両側の家並がスーッスーッと背後へ飛んで行った。幾度となく往来の人に突きあたって顛覆し相になった。それを危く避けては走った。今何という町を走っているのか無論そんなことは知らなかった。賑かな電車道などへ出そうになると、それをよけて淋しい方へ淋しい方へとハンドルを向けた。

それからどれ程炎天の下を走り続けたことか、彦太郎の気持では十分十里以上も逃げのびたつもりだけれど、東京の町はなかなか尽きなかった。ひょっとすると、彼は同じ所をグルグル廻っていたのかも知れないのだ。