Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lisez 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

私は私の愚問を恥じて又赤面した。

「こっちへお出なさい。家の中をお眼にかけましょう。そうすれば伯母がどんな性格の女だかおわかりになりましょう。ことによると違った人の眼で見たら鼓の隠してあるところがわかるかも知れません」

と云ううちに妻木君は立ち上った。私は鼓のことを殆んど諦めながらも、云い知れぬ好奇心に満たされて室を出た。

応接間を出ると左は玄関と、以前人力車を入れたらしいタタキの間がある。妻木君は右へ曲って私を台所へ連れ込んだ。

それは電気と瓦斯を引いた新式の台所で、手入れの届いた板の間がピカピカ光っている。そこの袋戸棚から竈の下とその向う側、洗面所の上下の袋戸、物置の炭俵や漬物桶の間、湯殿と台所との間の壁の厚さ、女中部屋の空っぽの押入れ、天井裏にかけた提灯箱なぞいうものを、妻木君は如何にも慣れた手付きで調べて見せたが何一つ怪しいところはなかった。

「女中はいないんですか」と私は問うた。

「ええ……みんな逃げて行きます。伯母が八釜しいので……」

「じゃお台所は伯母さんがなさるのですね」

「いいえ。僕です」

「ヘエ。あなたが……」

「僕は鼓よりも料理の方が名人なのですよ。