Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lisez 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

「もう……もう本当に結構です」

「じゃ御参考に鼓だけお眼にかけておきましょう」

と云ううちに右手の違い棚から一つ宛四ツの鼓箱を取り下した。私はそれを受け取って室の真中に置いた。

箱から取り出された四ツの仕掛け鼓が私の前に並んだ時私は何となく胸が躍った。この中に「あやかしの鼓」が隠れていそうな気がしたからである。

この道にすこしでも這入った人は皆知っている通り、鼓の胴と皮とは人間でいえば夫婦のようなもので、元来別々に出来ていて皮には皮の性があり胴には胴の性がある。その二つの性が合って始めて一つの音色が出るので、仮令どんな名器同志の皮と胴でも、性が合わなければなかなか鳴らない。調子皮を貼って性を合わせたにしても、今までとは全く違った音色が出るので、今ここに四ツの皮と胴とがあるとすれば、鳴る鳴らぬに拘わらず総計で十六通りの音色が出るわけである。鶴原未亡人はそれを知っていて、ふだん胴と皮とをかけ換えているのではないか……。

しかしこの考えが浅墓であることは間もなくわかった。妻木君は私と向い合って坐るとすぐに云った。

「私はこの四つの胴と皮とをいろいろにかけ換えてみました。