Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lisez 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

「ああ……わたくしが悪う御座いました」

と云いながら私は又両手を顔に当てた。

……バタリ……と馬の鞭が畳の上に落ちた。

ガチャリと硝子の壊れる音がして不意に冷たい手が私の両手を払い除けた……と思う間もなく眼を閉じた私の顔の上に烈しい接吻が乱れ落ちた。酒臭い呼吸。女の香、お白粉の香、髪の香、香水の香――そのようなものが死ぬ程せつなく私に襲いかかった。

「許して……許して……下さい」

と私は身を悶えて立ち上ろうとした。

「奥さん……奥さん奥さん」

と云う妻木君の声が廊下の向うからきこえた。同時にボーッと燃え上る火影が二人でふり返って見ている障子にゆらめいて又消えた。

「火事……ですよ」という悲しそうな妻木君の声が何やらバタバタという音と一緒にきこえた。

未亡人はハッとしたらしく、立ち上って夜具の上を渡って障子をサラリと開いた。同時に廊下のくらがりの中に白い浴衣がけで髪をふり乱した妻木君が現われて未亡人の前に立ち塞がった。

「アッ」と未亡人は叫んだ。両手で左の胸を押えて空に身を反らすとよろよろと夜具の上を逃げて来たが、私の眼の前にバッタリとうつ向けに倒れて苦しそうに身を縮めた。