Classiques japonais avec furigana
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おおとねのおおものつり
大利根の大物釣
石井 研堂
Lisez 大利根の大物釣 (おおとねのおおものつり) de 石井 研堂 (いしいけんどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 600 caractères · 17 écrans
の長きより長し。
舷に倚り手を伸べて右の示指に綸を懸け、緩く進退しながら、
漁『松さん、鈴よりか、指の方が、脈を見るに確だね。』
船『左様です。始終、指だけで済みますなら、それに越したこと有りませんよ。鈴の方は、先ず不精釣ですもの……。』
船『どうも、そうの様だて。鈴では、合せる呼吸を取り損ねる気がして……。』
船『此間、根岸の旦那と、植木やの親方の来ました時、後で大笑いなのです。』
漁『お二人一緒に釣ってまして、植木やさんが水押に出てお小用してますと、「チリン」、と一つ来ましたので、旦那が、「おい、お前のに来てるよ」と、仰有る内に、綸をするするするする持ってきますが、植木やさんは、少し痲の気でお小用が永いですから、急に止める訳にもいかず、此方を振り反って見て、「おいおい、そう引くな、少し待って呉れ」と言ってたというのです。』
船『旦那は、余程、合せてやろうかと、一旦は手を伸べたそうですが、若しも逸らして、後で恨まれてはと、思いなすって、「おいおい引いてくよ、引いてくよ」と、仰有るだけなもんでしたから、植木屋さんは、猶々気が気で無く、やっとの事で降りて来ましたが、綸は、ずっと延びてますので、引いて好いのか、出さなければ悪いのか、一寸は迷って仕舞って、綸に手をかけて見たものの、仕様無かったと、言ってました。