Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 159 272 caractères · 313 écrans
ああ、それでは、わたしが人の死骸と思ったのは、あの人が沈んでいたのではないか、わたしの見たのは、自分の影が映ったと見たのが誤りで、最初、驚かされた幻のような姿が、かえって本当ではなかったでしょうか。わたしは今、自分で自分の頭がわからなくなりました。もし、最初に見た水の中の幻が、ほんとうに浅吉さんの死骸だったとすれば、後の笹原で行きあったあの人は誰でしょう――わたし、これを書きながら怖くなってたまりません。
確かなのですよ、わたしがあの笹原でパッタリと蒼い面をした浅吉さんに行きあったことは。決して嘘ではありませんのよ。
『浅吉さん、鐙小屋へですか』
ですから、わたしは、そういって言葉をかけたのですが、それに返事のなかったことも確かです。そうして振返って見た時分には、かなり広い笹原のどこにも、あの人の姿が見えなかったことも本当なのです。
わたし、なんだか、自分までが、この世の人でないような気持がしてなりません。
三日の間、水につかっていた浅吉さんの姿は、蝋のように真白なそうです。
連れて来て宿の一間に眠るように休んでおいでなさるそうですけれども、わたしには、どうしても今見舞に行く勇気がありません。