Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Lisez 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 962 caractères · 145 écrans

Aozora Bunko

「やっぱり周囲は山でしたね、同じところにいるんじゃないか知ら」

この夕暮を、急に真夏の日ざかりの午睡からさめたもののように、お雪ちゃんは、なさかがわからないで、暫く、ぼんやりとして立っていましたが、さて、自分の身はと顧みると、髪はたばねて後ろへ垂らし、白羽二重の小袖を着て、笈摺をかけて、足はかいがいしく草鞋で結んでいることに気がつき、そうして白羽二重の小袖の襟には深山竜胆がさしてあることを、気がつくと、ああ、なるほど、なるほど、間違いはありません、白馬からの下り道に違いはありません。

ただ四辺の光景が、こんなふうに変ってしまったのは、下り道を間違えたせいでしょう。それにしても、ちょっとも疲れていない自分の身を不思議だと思いました。

どうも、なんだか、この白い小袖が、鶴の羽のようにふわりと空中に浮いて、白馬の頂からここまで、自分の眼は眠っている間に、誰かが、からだをそっと持って来て置いてくれたもののようにも思われ、やっぱりすがすがしい心のうちに、なんとなく暖かな気持で、お雪ちゃんは岩の上に腰をかけて、涯しも知らぬ大きな湖の面の薄暗がりを、うっとりと眺めつくして、それ以上には、まだ何事をも思い浮べることも、思いめぐらすこともしようとはしません。