Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans
手綱をかいくったままで、童はのれんをかきわけて、
「旦那様、おいででしたかね」
「うむ」
「頼まれたお方を、お連れ申しましたよ」
「それは御苦労」
そこで、はじめて、女は馬から下ろしてもらうと、笠を取って、杖を持ったままで、しゃなりしゃなりとはいって来て、
「あなた、あんまりよ」
といって、流し目に兵馬を睨みました。
兵馬は何とも答えないで、炉の火に手をかざしていたが、仏頂寺と、丸山とは、眼を円くして、女の方を穴のあくほどながめ、
「それ見ろ」
と口には言わないが、さげすむような、あざけるような目を、ジロジロと兵馬の方へ向けて、仏頂寺がその肩を一つたたいて、苦笑いをしました。
「宇津木」
「うむ」
「お前を尋ねて、お客様が来たよ」
「うむ」
丸山勇仙は底意地悪そうな、そうしてイヤに、ていねいに女に向って、
「さあ、どうぞ、こちらへお掛け下さいませ、さあ」
「有難うございます」
女は杖を羽目に立てかけて、やはり、しゃなりしゃなりと、かなり人見知りをしない態度で、火の方へ寄って来ました。
「あなた、あんまりだわ、足の弱いものを打捨って、かわいそうじゃありませんか」
「打捨ったわけじゃない、おたがい同士だ」