Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

Lisez 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 285 635 caractères · 558 écrans

Aozora Bunko

「悪い風だ、悪い時に――」

と弁信は憂え面で、火の方向に向いて、歩みを運びはじめました。

弁信は勘のせいで、いかなる時にも、いかなる道をも、踏み間違えるという心配はないが、しかし、非常と知って、特に急ぐというの自由は持ちません。

憂えを胸におさえつつも、非常に向って、ゆっくりした足どりで進んで行くうちに、おびただしく馬の嘶く声、軒の燃え落ちるらしい音、竹のハネル音、それと共に、近隣で鳴らす半鐘の音までが、いとど凄愴たる趣を添え来るのであります。火はようやく大きくなりました。

しかも、それはまだ七八町も離れてはいるが、弁信ほどのものが、その精密な距離の測定と共に、現に焼けつつある家が自分と、どういう関係の遠近にあるかということの見立てを、誤るという理由は少しもありません。

いま、焼けつつある家は、自分が現に厄介になっている藤原家の邸内の、そのいずれかの部分であることは間違いがありません。藤原家の屋敷では、親子兄弟がみんな別々の棟に住していますから、納屋、物置でない限り、そのうちの誰かの住居が焼けつつあるに相違ない。誰のが焼けていいという理由はないが、もしや……と弁信の胸がつぶれるのであります。