Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lisez 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 268 946 caractères · 520 écrans
てみても、果してどのくらいの額に上るでしょうか。大正昭和の頃の、甲州第一の富豪といわれる某氏の財産を、かりに八千万円と見て、それを伊太夫の財産額として、そのうちの八分の一を譲られた計算にしてみてからが、ほぼ一千万円程度のものを、直ちに引渡せという交渉には、親子の間とはいえ、全く自由処分に任せるつもりの金であるとはいえ、一言で裁断を下せないのはあたりまえでした。
そこで伊太夫が唸りました。しかし、やや暫く唸りを長く引いているだけで、一言の下に「馬鹿!」と言って蹴飛ばさないところを以て見ると、相当考慮の余地は存して置いているものらしい。といって、「いいから、おやんなさい」と容易く肯定に入ろうとも思われないから、老番頭も覚悟して、主人と共に、その返答の挨拶の文案を練りにかかろうとする身構えです。
「あれの分が現金で、今どのくらいありますか」
暫くあって、伊太夫の老番頭に対する質問がそれでした。
「左様でございます――手許にありまする分と、貸附の分とを、ちょっと取調べてみますると、十四万八千両ばかりござりまするで……これをごらんくださいませ」
と老番頭は、帳面を持って来ているのを、ここで主人の前にひろげたのです。