Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lisez 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 195 601 caractères · 387 écrans
ムクはじっと両足を揃えたまま兵馬を睨んで唸っています。逃げ足の立った見物は、ここでまた引返して四方から取囲むとこれは思いがけぬ槍試合、槍を上段につけたまま兵馬が一歩進むと米友が一歩退く。
一歩一歩と兵馬は追い詰めて行く、米友は一歩一歩とさがって行く、ムクもそれにつれてジリジリと米友並みにさがる。
兵馬に米友を突くつもりのないことはわかっている。兵馬はただこうして一歩一歩と米友を追いつめてさえおれば、ついに彼は窮して槍を投げ出すものと思っているらしい。それだから兵馬は、いつも上段の位を換えずに極めて少しずつ追い込んで行く。
米友は猿のような眼をクルクルと廻して、歯を噛みならして、色は真赤になる。突き出すこともできず、払いのけることもできず、焦れてウォーウォーと叫ぶ。米友の陣立てが悪い時、それを補うのがムクの役目でなければならぬ。それが米友並みに一足ずつ引いて行ったのではムクらしくもない。気を見ることを知っているムクは、兵馬の槍先がたとえ米友の咽喉へ向いていたからにしたところで、そこで固まってしまう槍でないことを知っている。変化の働きを怖るればこそ、同じように引いて行くのではあるまいか。