Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans

Aozora Bunko

今もまた、その考えで、人通りのほとんどないほどの朝まだきに番町を出て、こうして、下町方面へ、無意識に急いでゆくうちに、むらむらと巻き起る考えが、駒井の足の向きを変えさせてしまいました。

この機会に父母の墓に詣で、先祖へ対する心ばかりの謝罪をするのも、無用なことではあるまい。こう思い出したから、駒井は足の向きをかえて、小石川の方面へとこころざしたものです。

駒井甚三郎の父母の墓も、先祖の墓も、小石川の伝通院にある。一族、親戚の墓も多くそこにあるはず。

ほどなく、安藤坂を上ると、伝通院の門前。まだ時刻が早過ぎるので、どうかと思ったが、見れば門前に、花を売る店が早くも戸を開いて、表の道の箒目もあざやかですから、駒井はその花を売る店へ寄って、

「お早う」

言葉をかけてみると、店を守るのは例の卒塔婆小町に似た一人の婆さんであります。

「いらっしゃいまし」

駒井は無雑作に店の中へ入って、

「お墓参りに来た」

「それはそれは、お早々と」

まもなく、駒井甚三郎は花と香とを携え、卒塔婆小町に似た婆さんは、箒と水とを携えて、伝通院の墓地へ通るのを見受けます。日が漸くのぼりはじめて、寺では梵唄の響。