Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lisez 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 242 044 caractères · 477 écrans

Aozora Bunko

このさむらいは、鼠一匹を相手に、追いつ追われつ興がっているが、やはり、器を忌むの心で手裏剣は切って放さない。思い直したと見えて、それを脇差にはさんでしまい、体を斜めにして、傍えの木剣を引寄せて、今度来たならば一撃の下にと身構えしているとは知らず、三度目にこそこそと板の間の隅を走る鼠。

途中まで来て、踏みとどまってこちらを見ました。その瞬間、さむらいが、初めてゾッとして、構えた木刀を思わず取落そうとしたのは、踏みとどまってこちらを見た鼠の面が、その時、ずんと伸びて、ほとんど人面と同じほどの大きさに見え、じっと眼を据えて、こちらを睨み返したからです。

「何を……」

再び、その木剣を取り直した時は、もう鼠の姿は見えず、ただなんとなく、寒気が全身を襲うて来るのみです。

そこで、さむらいはなんだかばかばかしくもあり、いやな気にもなって、木剣を抛り出し、そのまま頭をかかえて横になるとまもなく、軽いいびきで寝入ってしまいましたが、ずんと大きく、人間と同じほどに伸びた鼠の面だけが、夢の中に残って、夜もすがらおびえたそうです。

二十六

その夜は、それだけで無事に明け、翌日、右のさむらいは、御岳山へのぼるといって立去りました。