Classiques japonais avec furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Lisez 天守物語 (てんしゅものがたり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 593 caractères · 42 écrans
大小をさしたものが、ちっとは雨にも濡れたが可い。慌てる紋は泡沫のよう。野袴の裾を端折って、灸のあとを出すのがある。おお、おかしい。(微笑む)粟粒を一つ二つと算えて拾う雀でも、俄雨には容子が可い。五百石、三百石、千石一人で食むものが、その笑止さと言ってはない。おかしいやら、気の毒やら、ねえ、お前。
薄 はい。
夫人 私はね、群鷺ヶ峰の山の端に、掛稲を楯にして、戻道で、そっと立って視めていた。そこには昼の月があって、雁金のように(その水色の袖を圧う)その袖に影が映った。影が、結んだ玉ずさのようにも見えた。――夜叉ヶ池のお雪様は、激いなかにお床しい、野はその黒雲、尾上は瑠璃、皆、あの方のお計らい。それでも鷹狩の足も腰も留めさせずに、大風と大雨で、城まで追返しておくれの約束。鷹狩たちが遠くから、松を離れて、その曠野を、黒雲の走る下に、泥川のように流れてくるに従って、追手の風の横吹。私が見ていたあたりへも、一村雨颯とかかったから、歌も読まずに蓑をかりて、案山子の笠をさして来ました。ああ、そこの蜻蛉と鬼灯たち、小児に持たして後ほどに返しましょう。
薄 何の、それには及びますまいと存じます。