Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

「ダブックウ」ひょうりゅうき

「太平洋漏水孔」漂流記

小栗 虫太郎

Lisez 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 264 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

海面は、黒くたかく頭上にそびえ、風と飛沫と囂音で一分の休息もない。そのなかで、私たちはだんだんに退化して、いまに鳴き亀とおなじようになるだろう。

ところが、きょう夜にかけて大颶風がやってきた。そのあと、朦気が吹き払われ清涼の気をおぼえると、今まで忘れていたこと、感じなかったこと、また、私が是非しなければならぬことが、まるで堰切った激流のように迸しってくる。私は寸時でも、脳力を恢復したことを悦ばねばならない。

それは、私が痴愚になったという第一の証拠だが、ハチロウのことをすっかり忘れていたのだ。私とナエーアが、この水面下の島で朽ちはててしまうのはよし。しかし、ハチロウをここで鳴き亀同様の存在にするということは、まったく何としても忍びないことなのだ。

私は、今夜ハチロウを外海へ出そうというのだ。それには、渡り鳥である鰹鳥を利用する。さらに“Cohoba”をハチロウにもちいて泥々に酔わせて置く。そして、そのハチロウを入れた籠を鰹鳥にひかせる。おそらく、五羽の鰹鳥はその籠をひいて、底をかすかに水面に触れながら、まっしぐらに突っ切るだろう。

愛は、ハチロウをきっと守るにちがいない。