Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lisez 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 834 caractères · 94 écrans
阿呆な手をさしたという心になって泣いている――というのである。将棋盤を人生と考え、将棋の駒を心にして来た坂田らしい言葉であり、無学文盲の坂田が吐いた名文句として、後世に残るものである。この一句には坂田でなければ言えないという個性的な影像があり、そして坂田という人の一生を宿命的に象徴しているともいえよう。苦労を掛けた糟糠の妻は「阿呆な将棋をさしなはんなや」という言葉を遺言にして死に、娘は男を作って駈落ちし、そして、一生一代の対局に「阿呆な将棋をさし」てしまった坂田三吉が後世に残したのは、結局この「銀が泣いてる」という一句だけであった。一時は将棋盤の八十一の桝も坂田には狭すぎる、といわれるほど天衣無縫の棋力を喧伝されていた坂田も、現在の棋界の標準では、六段か七段ぐらいの棋力しかなく、天才的棋師として後世に記憶される人とも思えない。わずかに「銀が泣いてる坂田は生きてる」ということになるのだろう。しかし、私は銀が泣いたことよりも、坂田が一生一代の対局でさした「阿呆な将棋」を坂田の傑作として、永く記憶したいのである。
いかなる「阿呆な将棋」であったか。坂田は第一手に、九三の端の歩を九四へ突いたのである。