Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
うしなわれたはんしん
失われた半身
豊島 与志雄
Lisez 失われた半身 (うしなわれたはんしん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 545 caractères · 21 écrans
彼女はおれより一つか二つ年上だろうか、まるで姉のようにおれの身なりに気を配ってくれた。おれの方からは、ただ閨の歓楽を報いただけだが、この取引では、むしろ彼女の方が得をした筈だ。おれの身辺の世話をやくことに、彼女は大きな自己満足を感じていたからだ。男めかけ、そんな気持ちは露ほどもなかった。然し、然し、実質的にはおれの方が得をした。この感じ、つまり恩義を受けたということは、拭い消しようがない。彼女が生きてる限り、そしておれが生きてる限り、それは消滅しない。今ここで、彼女を殺せるものなら……。
またまた、わーっと喚きたい、喚きながら駆け廻りたい……。
彼女はまだ泣いていた。見ていると不思議なほど涙が流れ出る。ハンカチはぐしょ濡れだ。
「ごめんなさい。あたしわるかったわ。でも、あなたを誘惑するつもりではなかった。ほんとに好きだったの。この、好きだって気持を知ったこと、感謝してるわ。ね、分って下さるでしょう。」
ちきしょう。おれとしたことが、ふっと涙ぐんできた。もうやぶれかぶれに酒だ。そして喚いてやれ。わーっ、わーっ、と喚いてやれ。そうだ、あの時、あの女も喚いた。