Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 195 caractères · 22 écrans
五
斯んな事を発表するのは、行方不明になった喜田川三郎氏のためには、誠にお気の毒ですが、事実を事実として伝えるためには誠に已むを得ないことであります」
言い終って倉繁大一郎は、静かに壇を下りました。
五
「幹事長、幹事長」
倉繁大一郎が、自分の席へ帰る前に、会場の隅から、大きな声を張り上げて立上った者があります。
「どなたですか」
今八郎は静かに応じました。
「磯上伴作です。――今の方は事実を事実として伝えるために、十年前の隠された秘密を発くと仰しゃった。それならば私にも一言し度いことがあります」
「――――」
会場は異常な好奇心に固唾を呑みました。それほど磯上伴作の言葉には、思い詰めた緊迫さがあったのです。
「私は、人の秘事は、その人の欲する限り永久に隠して置くべきだと思います。墓を発くような詮索は、奇談クラブの名に於ても敢てすべきではありません。だが、発いた事が事実と全く違って居たとしたら、どんなものでしょう。それは明らかに、誤れるままそっとして置くよりも、遥かに悪い事ではないでしょうか」
「磯上さん、此方へ出てお話下さい、其処では皆様へ通りません」
会長の吉井明子夫人と打ち合せた幹事の今八郎は、会場の隅で際限もなくしゃべり続けて居る磯上伴作を招きました。