Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 195 caractères · 22 écrans
話し手の倉繁大一郎は、斯う物々しく切出して、その効果を見極めるように、左して広くもない会場を眺め渡すのでした。
「――喜田川志津子さんの美しさは、ありきたりの美人の、整った目鼻立から来る調和的な美しさではなく、それとは全く反対に、法外に大きい黒い眼や、時には金色にさえ見えるセピヤ色の皮膚や、国宝阿修羅王の彫刻に見るような、燃焼的な烈しい表情や、丹を塗ったような赤い唇や、伸び切った四肢やの醸し出す、片輪で未完成で、そして不調和でさえある、いろいろの条件の集まった、世にも不思議な魅力であったと言った方が適切だったでしょう」
咳一咳――という古い形容詞が、この倉繁大一郎の話の合の手には、最も適切な表現でした。
「その志津子さんには、喜田川三郎という凡そ『似もつかぬ』感情と生活様式と教養とを持った良夫のあったことも皆様は御存じの筈です。喜田川三郎は技術家上りの富豪で、千万長者の一人でしたが、金儲けと下手なゴルフと、そして金持が貧乏人の真似をして喜ぶ程度のお茶に凝った男で、奥さんの志津子さんの描く海の絵などは、生れ代って来ても理解の出来ない人間だったのです」