Classiques japonais avec furigana
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おくじょうねんだけのぜってんにたつき
奥常念岳の絶巓に立つ記
小島 烏水
Lisez 奥常念岳の絶巓に立つ記 (おくじょうねんだけのぜってんにたつき) de 小島 烏水 (こじまうすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 541 caractères · 11 écrans
、自分を置去りにしたのではなかろうが、山路はこの辺の諺にも一分八間といって、足の爪先の向けようで、同じ頂から別れて、反対の方角に行くことになる、自分は路を迷ったのである。
太古の山中へ、一人遺されたかと思うと、雲の上にも漂泊の運命が、犇々と身に迫って来るのを感じる、声を限りに叫んだが、反響は岩の空洞よりオーイと返すのみ、自分は友を呼ぶ、反響は自分を冷嘲する、寥廓無辺の天の一角を彷徨うて、何処に自分は適帰するのであろう、昨日来た路は記憶している、引き返して中房温泉に戻れば、最も安全である、併し自分は奥常念を超え蝶ヶ岳から神河内へ下りてみたい、路を迷って幾日も山谷の間を往来するのはいいとしても、食糧品一切は、善作が荷って去った、これには弱る、又思い返えして、自分が先方を捜している通り、先方でも自分を呼んでいるに違いない、行け行けと決心した。
今は足許に岩桔梗が美しく咲いていても眼に入らない、山の西の端まで疾歩すると、その崖の尽きた下遥かに、善作が空身で立っている、手真似で下りろという、崖が急で下りられない、指す方に従って漸く下り場所をさがし、偃松の中に転げこむと、荷梯子がそっくり寝ていた、彼も喉のつづく