Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようば
妖婆
Lisez 妖婆 (ようば) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 473 caractères · 73 écrans
新蔵はその言葉を静に聞いていましたが、やがて眉を顰めると、迂散らしい眼つきをして、「来てくれるなと云うのはわかるけれど、来れば命にかかわると云うのは不思議じゃないか。不思議よりゃむしろ乱暴だね。」と、腹を立てたような声を出すのです。が、泰さんもただ言伝てを聞いただけで、どうした訣とも問い質さずに、お島婆さんの家を駈け出したのですから、いくら相手を慰めたくも、好い加減な御座なりを並べるほかは、慰めようがありません。すると新蔵はなおさらの事、別人のように黙りこんで、さっさと歩みを早めたそうですが、その内にまた与兵衛鮨の旗の出ている下へ来ると、急に泰さんの方をふり向いて、「僕はお敏に逢ってくりゃ好かった。」と、残念らしい口吻を洩しました。その時泰さんが何気なく、「じゃもう一度逢いに行くさ。」と、調戯うようにこう云った――それが後になって考えると、新蔵の心に燃えている、焔のような逢いたさへ、油をかける事になったのでしょう。ほどなく泰さんに別れると、すぐ新蔵が取って返したのは、回向院前の坊主軍鶏で、あたりが暗くなるのを待ちながら、銚子も二三本空にしました。