Classiques japonais avec furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lisez 婦系図 (おんなけいず) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 760 caractères · 343 écrans
」
「深川? 深川と云う人に落籍されたのか、川向うの深川かい。」
「…………。」
「どうだよ、おい、知らない奴があるか。お前、仲が好くって、姉妹のようだと云ったじゃないか。姉妹分が落籍たのに、その行先が分らない、べら棒があるもんかい。
姉さんとか、小芳さんとか云って、先方でも落籍祝いに、赤飯ぐらい配ったろう、お前食ったろう、そいつを。
蒸立だとか、好い色だとか云って、喜んでよ、こっちからも、の切手の五十銭ぐらい祝ったろう。小遣帳に記いているだろう。その婦の行先が知れない奴があるものか。
知らなきゃ馬鹿だ。もっとも、己のような素一歩と腐合おうと云う料簡方だから、はじめから悧怜でないのは知れてるんだ。馬鹿は構わん、どうせ、芸者だ、世間並じゃない。芸者の馬鹿は構わんが、薄情は不可んな! 薄情は。薄情な奴は俺ら真平だ。」
「いつ、私が、薄情な、」
と口惜しく屹となる処を、酒井の剣幕が烈いので、悄れて声が霑んだのである。
「薄情でない! 薄情さ。懇意な婦の、居処を知らなけりゃ薄情じゃないか。」
「だって、貴郎。だって、先方でも、つい音信をしないもんですから、」
「先方が音信をしなくっても、お前の薄情は帳消は出来ん。