Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

兎に角、母が一人で行ってくれたのが、彼には嬉しかった。普通なら、いつも間にはいって面倒をみてる伯父が、当然その役目をすべきだが、「女は女同志の方が話がしよいから、」と幾代は主張した。そして伯父を同伴することさえ拒んだ。「では行ってきますよ、」と彼女は云いながら、重大な用件で小石川の奥から三田まで俥を走らせるのに、宛も日常の用足しででもあるかのように、落付き払って家を出た。

母は安心しきってるようだ、と彼は考えた。然し、もしも向うで子供を渡さないといったら……。

彼は眉根をしかめた。ふと空を仰いでみた。晴れ渡った空が一杯日の光りを含んでいた。彼は一寸口笛を吹いた。それから妻の所へ行ってみた。

兼子の弱々しい繊細な顔には、かすかに興奮の赤味があった。彼女は良人の姿を見ると、無理強いの微笑を浮べた。

「これでお前も安心したろう?」と彼は冗談の調子で云った。然しその言葉をいい終えないうちに、心と反対のことを口にしているのを感じた。その言葉が当てつけがましい皮肉のように、我ながら思われた。それでも兼子の答えは素直だった。

「でも、向うの返事を聞きませんうちは……。