Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

お敏は立っていって、お客様だからと断ってるようでした。そしてまた座に戻ると、ふいに、ほんとうにふいに、奥様済みませんと詑びるのです。何で詑びるのか私には分りませんでしたが、ただ、いいえ私の方が余り突然だったものですから、と云ってやりました。それですっかりよくなりました。落付いてゆっくり話をすることが出来ました。私達の気持ちは、向うにもよく分ったようです。四五日考えさして欲しいと云っていましたが、大丈夫承知しますでしょう。」

そういう話を聞きながら彼は、話の内容には余り気も止めずに、敏子――昔のとし――と依子との生活を想像に浮べていた。あの時別れて以来、彼は二人に逢ったことがなかった。厳格な父の怒りに觸れて以来、彼の耳には二人の消息は更に達しなかった。ただ何かの折に、二人が三田に住んでることを一寸耳にしたので、入り組んだ小路をやたらに彷徨したことがあった。然し敏子らしい姿は一度も見かけなかった。そして疲憊しつくした彼の眼には、慶応義塾の美しい図書館の姿が、暮れ悩んだ空を景色にして、くっきりと残ったのみであった。それから、彼は凡てを過去に埋める気で忘れるともなく忘れていった。