Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

それは瀬戸の伯父がつけてくれた名前だった。

家の中には急に種々なものが増えてきた。幾代と兼子との夢想は実現されていった。兼子の身体も肥ってきたようだった。彼女の膝の前には、美しい友禅模様の布が並んだ。彼女と幾代とは、新しい玩具をいじっては微笑んでいた。彼も時々その仲間にはいった。幾代は二度ばかり三田へ行った。その度毎にいい子だとほめていた。

それでも、影のような不安が、彼の心をふと掠めることがあった。凡ては未解決のまま単に通り越されたのみだった。兼子の病気と手術と不妊との問題、依子の運命の問題、彼と兼子と依子と敏子との今後の心的交渉の問題、それらが表面上は解決された形になりながらも、彼の心のうちでは少しも解決されたのではなかった。ただ次から次へと移り変っていったのみだった。と云って、それは解決される問題でもなかった。凡ては未来に懸っていた。それを考えると彼は、現在の立場が悉く幻ではないかというような、はかない不安な気持ちになった。それならばどうしたらいいのか? どうといって仕様はなかった。ただ未来を信じて進むのだ。思い切って凡てにぶつかってゆくのだ。