Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
――どちらにもせよ、父親は各種の「門」と、その風格や美感について語り、子供は辛抱づよく相槌を打ち、感動して唸り、熱心に同意したりした。
食事のために炊事をすることは殆んどない。寒い季節には湯を沸かすが、食事は残飯をよりわけ、それぞれの丼に移して冷たいまま喰べる。
「冷食は健康のためなんだな」と父親はしばしば云う、「犬に例をとってみても、ブルジョワに飼われてるやつは大事にされて、却って躯が弱くなってしまう。ところが拾い食いをして地面の上で寝るようなのら犬はさ、虫歯もなければ胃弱にもならないだろう」
「ほんとだ、うん、ほんとだ」
「生物はほんらい冷食していたんだな、――これはポーク・カツらしい、きみ喰べるか」
「いいよ、喰べなよ」と子供は首を振る、「ぼくのほうにもあるんだ」
父親はポーク・カツレツの切れっ端を喰べ、暖衣温食が、いかに人間の肉躰を弱め、非力多病にしたか、ということ、それに反して、冷食と戸外生活が、どんなに自然であり健康に役立つか、という理論をくりひろげるのであった。
つめたい食事と戸外生活、それが人間のもっとも自然で、健康なありかただと主張しながら、同時にかれらの空想上の家は、空想の中で幾たびとなく建てたり改築されたりしながら、しだいに豪壮な邸宅となっていった。